2004年/東洋医療鍼灸学科卒業
鍼灸師
鍼灸師 本田滋一治療室 開業
私が医療の道を志したのは17歳の時。父親をがんで亡くし、自分の手で病気を治したい、と思ったのがきっかけです。理由も分からず「治らない」というのが納得いかなかったんですね。しかし、経済的な理由で高校卒業後は3年くらい働き、2001年に関西医療学園専門学校に進みました。同じ医療の道でも、西洋医学と東洋医学では大きな違いがあります。私は、体の状態を左右する「気」の思想に基づいた東洋医学に惹かれていたので、今の道をめざすことにしました。専門学校時代はアルバイトと勉強に追われる日々でしたが、学校には様々な考えの先生が在籍していて刺激的でしたね。ある先生は私を「天才肌だ」と褒め、ある先生は「君は向いてない」と(笑)。ツボの位置などを覚えるのは大変でしたが、多様な考え方に触れることができ、良い経験を積むことができました。
卒業後は、鍼灸院や整骨院に勤務しながら、さらにスキルアップするため関西鍼灸短期大学(現・関西医療大学)の研修鍼灸師に参加。ここで現在でも研修を続けています。また、自分で患者様を治療していく必要性も感じたため、2006年には往診で鍼灸治療を行う「本田鍼灸」という活動を個人的に始めました。
2010年に恩師からの勧めもあって独立開業したのですが、自分で治療院を運営するというのは初めてだったので、最初は苦労の連続でした。不動産の物件を探して契約するところからすべて自分でやらないといけないので、開業の大変さを身に染みて感じました。今では子どもから年配の方まで、幅広い層の方が治療に来られます。私は、同じ鍼治療でも「てい鍼」といって、体には刺さずに肌に触れるだけの治療を行っています。刺さないので、初めての方や緊張しやすい方でも安心して治療を受けてもらえる上、東洋医療の古典ではこの「てい鍼」が最も気に作用する、と伝えられています。私は気の流れを重要視しているのでこの治療法を採用しているのですが、実際の臨床現場でも効果を感じますね。
日々の治療の中で大切にしているのは、患者様の気持ちが前向きになるよう、体と心の調子を整えてあげること。些細なことでもいいので、患者様から「プラス思考になった」という話を聞くと、大きなやりがいを感じるんです。子どもの患者様の場合など、調子が良くなることで両親の仲が良くなることもあって、自分の役割の大きさを改めて感じます。また年配の方に対しては、趣味の山歩きに誘って足腰の鍛錬を行うなど、治療以外の部分でもサポートするようにしています。といっても、完全に私の趣味になっていますが(笑)。患者様の症状や体質は一人ひとり違いますので、これからも自分が最適だと思う治療を丁寧に行っていきたいと思っています。そのために、今後も勉強や研修を続けて、もっと腕を磨いていきたいですね。
大阪漢方鍼医会に所属し、月に1度の勉強会で研修を続けています。
フリーの日はほとんど山歩きに出かけます。テントを持ってキャンプすることもありますよ。
体に刺さないタイプの「てい鍼」という鍼です。銅の鍼をよく使っています。
山歩きの必需品。これで焼く、煮る、お湯を沸かす…などあらゆる調理ができるんです。